日光田母沢御用邸記念公園で味わう皇室史と建築美|日光観光や日光・キャンプ場ステイと一緒に楽しみたい静かな名所
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目次
1. ローカルスタッフおすすめ。日光で“静かに贅沢”できる場所
栃木県日光市にある日光田母沢御用邸記念公園は、世界遺産エリアから少し離れた、知る人ぞ知る静寂の名所。
TORCHのローカルスタッフも「混雑を避けてゆっくりできる場所」として強くおすすめするスポットです。
木造建築の美しさと、広い庭園が織りなす静けさ。観光地のにぎわいからふっと離れ、時代を越えるような感覚で過ごせる特別な空間でした!私が訪れたのは紅葉の季節。日光の鮮やかな秋色と御用邸の落ち着いた木の色が重なって、どこを切り取っても絵になる一日でした。

2. 明治の皇室史からたどる、日光田母沢御用邸の誕生物語
日光田母沢御用邸が造営されたのは1899年(明治32年)。
当時病弱だった嘉仁親王(のちの大正天皇)の静養のために建てられました。
きっかけは、嘉仁親王が日光の自然を大変気に入られたこと。
そのため、
実業家・小林年保が所有していた別荘を取り込み、
さらに紀州徳川家の江戸屋敷(赤坂離宮の一部)を丸ごと移築する、
という途方もない規模の工事が行われました。
建設には約4万人もの職人が関わったと言われています。
完成後は、
嘉仁親王(大正天皇)の夏の静養地
昭和天皇・香淳皇后の避暑地
1944年には、当時皇太子の明仁親王(上皇陛下)の疎開の場所
として、約50年もの間、皇室の夏の生活を支えた重要な御用邸でした。終戦後を経て、修復・整備ののち一般公開が始まり、今では誰もが皇室ゆかりの歴史を“歩いて感じられる”場所になっています。
3. 江戸・明治・大正、三つの時代を歩く「時間旅行」建築
御用邸に入るとまず驚くのがそのスケール。
現存する明治期の御用邸では国内最大級の木造建築で、2階建て(一部3階建て)、総部屋数106室という圧巻の大きさです。この建物が特に面白いのは、江戸・明治・大正という三つの時代の建築が一棟の中に混在しながら調和していること。
江戸の紀州徳川家の建物
明治の別荘建築
大正期の増築(公的な空間)
が廊下で自然につながり、歩くたびに建築の空気が変わります。
そして、皇室が使う建物である以上、部屋ごとに「格」を細かく調整する必要があり、そのために多種多様な建築技法や意匠が使い分けられているのだそう。
畳の縁、欄間、天井のデザイン、床材、柱の材質などが部屋の目的に応じて変えられており、気づけば「この部屋は重要な部屋だな」と空気感で分かるほど。
謁見所では畳の上に英国製カーペット、天井にはシャンデリア。書院造と洋風の融合は、まさに「和魂洋才」の象徴のようでした。私は館内を歩きながら「それぞれの時代を歩いている」ような不思議な気持ちに。
小さな時間旅行をしているような建築でした。

4. 「一部屋一用途」という贅沢さに驚く、106室の御用邸
御用邸を歩いていて強く感じたのは、各部屋が徹底して一つの役割だけを持っているということ。
現代のように「ひとつの部屋を多用途に使う」という発想はまったくありません。だからこそ、どの部屋にも余計な物がなく、建築そのものの美しさが際立っていました。私は説明をじっくり聞きながら写真も撮って、約2時間半滞在しました。 それでも「まだ見足りない」と感じたほど。 建築好き・歴史好きなら、ぜひ時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。

5. 天皇・皇后が過ごした部屋を歩くという特別な体験
館内には、天皇・皇后が実際に使用した部屋が多数残されています。
紀州徳川家から移築された御学問所(書斎)
日常の居間兼執務室にあたる御座所
皇祖神を遥拝する御日拝所
公式の晩餐が行われた表御食堂
どの部屋も意匠と空気が異なり、歩くたびに「ここでどんな生活があったんだろう」と想像が膨らみます。
特に御座所の、扇をかたどった竹格子の欄間は印象的。控えめで上品でありながら、当時の職人の遊び心が感じられるデザインでした。「天皇が実際に歩いた空間を自分で歩いている」 その感覚だけで、背筋が伸びるような体験です。


6. 畳の縁・襖の金具・スイッチ…細部から見える“身分のデザイン”
館内を歩きながら夢中で写真を撮ってしまったのが、細部の意匠。
照明器具
部屋ごとに違う畳の縁(へり)
襖の錺金具や釘隠しの文様
天皇の部屋にだけ使われる最上位の縁「繧繝縁」
こうしたパーツひとつひとつに、格式や役割が反映されているのが本当に面白い。
畳の縁や金具の実物を比較できる展示コーナーもあって、「身分や用途によってこれほどデザインが変わるのか…」と驚かされました。

7. 三種の神器が旅をした部屋:「劔璽の間」に秘められた緊張感
御用邸の2階にある、ごく小さな3畳の部屋。
それが「劔璽の間(けんじのま)」です。
ここは、天皇が地方へ滞在する際に同行させる草薙剣と八尺瓊勾玉(=三種の神器のうち二つ)を安置するための特別な部屋。部屋は驚くほど質素ですが、畳の縁は最高位の「繧繝縁」。華やかさよりも“緊張感”を感じる空間です。

8. 隠れた裏方の世界:女官・庭師・随行牛が支えた御用邸の暮らし
表からは見えない裏側にも、御用邸ならではの工夫がたくさんあります。
● 女官たちの部屋が並ぶ“小さな社会”
女官の階層に応じた部屋や詰所が整然と配置され、
まるでひとつの町のように役割が細分化されています。
● 庭師専用の裏通路
庭の手入れをする庭師が、館内に入らず庭へアクセスできる「庭師用通路」。
影で御用邸の美しさを支える仕組みがしっかり作られていました。
● 牛舎跡地となった現在の駐車場
そして、今の駐車場はなんと天皇専用の乳牛を飼育していた牛舎の跡地。
冷蔵技術が乏しかった時代、新鮮な牛乳を確保するために“随行牛”が地方へ同行していたというエピソードは、知ると少し微笑ましくもあります。

9. 庭園と紅葉、そしてシダレザクラ。四季をまとった御用邸の景色
田母沢御用邸は、建物だけでなく庭園の美しさも大きな魅力。
芝生の前庭
池泉回遊式の日本庭園
四季で色が変わる草木
特に、庭園中央に立つ樹齢350〜400年のシダレザクラは圧巻です。
春は淡い桜、夏は深い緑、秋には紅葉との共演、冬は雪化粧。
私は紅葉の時期に訪れましたが、庭園越しに望む御用邸の静けさは格別でした。

10. TORCHにとっての特別なつながりと訪問のすすめ
この御用邸が持つ背景に、私たちTORCHにとっての親しみもあります。というのも、田母沢御用邸の中心部分は、かつて紀州徳川家の江戸屋敷を移築した建物。紀州藩は現在の和歌山県を拠点としていた藩で、TORCHのオーナー福田の友人が和歌山・那智勝浦で事業を営んでおり、その影響も受けながらTORCHをスタートさせました。日光と和歌山——この2つの土地をつなぐ歴史と個人的な縁が重なっていることもあり、田母沢御用邸記念公園は特別な愛着を持っておすすめしたい場所です。
また、建築規模を肌で感じるには動画の視聴もおすすめです。御用邸は「2階建て(一部3階建て)、総部屋数106室という圧巻の大きさ」とされていますが、その構造美をダイナミックに体感できるのが、YouTubeなどに上がっているドローン映像(YouTube)です。屋根の複雑な連なりや、時代の異なる建築様式がひとつの建物に融合している様子は、上空から見ることで初めて理解できる迫力。ぜひ視覚的にもその美を楽しんでみてください。

(シャンデリアには梅の模様が施されています。)
11. 滞在をより深める:音声ガイドと館内スタッフの魅力
御用邸の見学にあたっては、音声ガイドや、各所で出会えるスタッフの方々の丁寧な説明も大きな魅力です。展示の見どころをただ見るだけでなく、背景にあるエピソードや設計の意図、当時の生活のディテールまで知ることができ、滞在の満足度がぐんと高まります。
建築や歴史に詳しくなくても、スタッフの方の説明によって発見がたくさんありました。

12. 日光観光・日光のキャンプ場ステイと合わせて訪れたい理由
— 見学時間の目安と冬季の防寒ポイント付き —
日光田母沢御用邸は、
世界遺産エリア
中禅寺湖・いろは坂
TORCH Camping & Coworking Space
どのルートとも相性がよく、旅に組み込みやすい立地です。
歴史好き・建築好きはもちろん、混雑を避けたい人にもおすすめ。
● 見学時間の目安
さらっと見れば 1〜1.5時間
写真を撮ったり細部も楽しむなら 2時間以上
じっくり派の私は 2時間半でも足りない と感じました
● 冬季は防寒が必須
館内は木造で窓も多く、床が冷えやすいため、寒い季節は外より冷えることがあります。
厚手の靴下・あたたかいインナー・カイロなど、1枚多めの防寒がおすすめです。

この記事を書いた人

Christina Hoshino
Webデザイナー
楽しいことや、幸せを見つけるのが得意なポジティブウーマンです。
アウトドア初心者の私が、実際の体験や、情報を独自の視点でお伝えします!




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